ヨモジジ(freaks ver.)

本と雑貨と音楽と、街歩きが好きなオッサン。1981年生まれの珈琲難民が好き放題に語る。レビューのためのブログ。

読書

「シュメル神話の世界」著:岡田明子、小林登志子

シュメル神話についての予備知識はまったくないが おとぎ話の詰め合わせとしてまずは読ませてもらえる。ギルガメシュと言えばビッグブリッジの死闘か 怪しげな深夜番組かと思っていましたが、ここで出てくる 英雄の名前だったのですね。半神半人の英雄は神話…

「ボン書店の幻」著:内堀 弘

とある詩の出版社として短い間に印象を残した個人の肖像です。 著者が古書店主でもあり、装丁や書誌情報の流れは 網羅的でツボを押さえており、図版も充実していて それを眺めるだけでも楽しい。ただし、後書きがズルすぎる。表には出なかった人だから直接に…

「神の民俗誌」著:宮田 登

これは本書の後書きにも書かれているが、 いまだまとまり切ってないまま研究ノートを提示されたような本だ。とは言っても、新書ならそういうことがむしろ挑戦として許されるのだから 向いてる方向さえ意識できていれば問題はなかろう。そして、この本はケガ…

「宅配がなくなる日」著:松岡真宏

今、かなり荒波にもまれている小売、流通業界についての分析だ。 サービスにおいての同時性を排することで 宅配の形が変わるということを言っているが、 正味なところ「同時性」という言葉の定義は甘い。 「時間価値」も何を指しているかはだいぶ恣意的にな…

「人工知能はどのようにして「名人」を超えたのか?」著:山本一成

将棋の名人を破ったポナンザの製作者が書いたものだが かなり読みやすく整理されている。まず、コンピュータは 記憶と簡単な計算しかできない、という 前提から入っているのもいい。 しっかり初心者の視点を押さえてくれている。自分より優れたものを生み出…

「最高殊勲夫人」著:源氏鶏太

昭和軽薄体の母体になっているような文章で書かれた ガッチガチの王道ラブコメで今更驚くようなことは特にございません。ただ、このサラリーマン社会と家社会の 濃厚な昭和感は久しぶりに感じたもので もはや資料的な価値があるとすら言えると思います。ご都…

「実録 アヘン戦争」著:陳舜臣

戦争が始まってしまった理由というのには興味がある。人を殺す許可を互いに出すのが戦争であり それは端的に倫理的ではない。 それに値する何かがあると考えてするのか、 倫理などというのは糞の役にも立たないのか。さて、本書は言わずと知れたアヘン戦争で…

「南ア共和国の内幕」著:伊藤正孝

古い本なので現状の話にはならない。 ただ、それでも読むに値する。どのように差別が起こって どのように維持されていくのかのひとつのケーススタディ。差別は制度と社会的規範によるところが大きいだろうが 個別の差別構造は歴史的なものと分かち難くある。…

「人事屋が書いた経理の本」著:共和発酵工業(株)

経理について経営の視点で抑えるべきことをまとめた本である。細かい仕訳の実務にはさほど役には立たないだろうけれど 数字の説明をする人間からしたらどのように説明すると 分かってもらえるだろうかという点では勉強になる。古い本なので最新のテクニック…

「七緒のために」著:島本理生

正直に言って「七緒のために」は星4つで、傑作ですが、 後半の「水の花火」はいかにも習作であって 前のがあるから読めるという体なので 本全体としてはやはり星3つにせざるを得ない。最高でも星4つなのは 丁寧すぎて繊細すぎるというあたりで 手癖と言うほ…

『新財務諸表論 第5版』著:田中 弘

それぞれの会計基準について、 会社法との差異や国際会計基準の流れなどをわかりやすく解説してくれる。ただし、この著者の方の見方というものがしっかり出ているので 初学者としてはどこまで採用すべきかは他の本も読むべきかと言う気もする。 ただ、この本…

『ヨーロッパ退屈日記』

軽いエッセイはいいもんだ。 中身のない会話でも楽しくできるのは そこにヒューモアがあればこそだと思う。そしてこの伊丹十三という青年は年頃らしい 高潔さをもって世界を観察している。 本当によいものが世の中には存在するに違いないという期待と、少し…

『豊乳肥臀』(下)著:莫言

なるほどこうやって終わらせるか。 あくまで絵巻物であり、叙事詩として描いたのだから こうやってもよいだろう。共産党時代は内戦や戦争の頃に比べれば 死ににくなったかもしれないが毀誉褒貶の激しさは変わらない。主人公もその荒波の中で、 揺れ動いた中…

『日本の神々』谷川健一

幅広く神々を取り扱っているが 少々散漫な印象的はあるかもしれない。最初は言葉のつながりから語彙にイメージを与えていき。 中盤では歴史的な趨勢をおさえながら 神や霊的なものがどのような意味を持っていたか見せる。 終盤では実地の取材に即して展開す…

「経営の心得」著:小山昇

一貫して中小企業の経営者の視点をとっており、シンプルで分かりやすい断章形式の本です。 中小企業とは経営資源に余裕のない会社と思ってもらえば差し支えはないでしょう。 そういう会社では特にコミットメントを求めないと すぐにガタガタになってしまうわ…

「租税法入門」著:増井良啓

専門書ではありますが、これ単独できちんと読めます。 いい入門書はその分野の意義と概観をどう押さえるかにかかってます。 その点、序論から紙幅を40pに渡って割いて、 租税法の意義に始まり歴史的過程を見せてくれていて 初心者としてとても助かりました。…

「ダチョウは軽車両に該当します」著:似鳥鶏

お仕事ものと推理サスペンスのごく軽いレジャー本ですね。 比較的細かく脚注が入るのはお仕事ものにはありがちで、 かつありがたいものですが、動物以外のネタも多いので もしかして作者はそこまで動物に入れ込んでないのではないでしょうか。 とはいえ、軽…

「豊乳肥臀」<上巻>著:莫言

ノーベル賞と聞いて身構えて読んでた感はあるけれど、 割とオーソドックスな小説だと思う。 上巻では日中戦争の流れを濃く写しとりながら 7人の姉たちのそれぞれの半生を見せていく。 僕は細雪を思い起こしていた。あんな絢爛な舞台ではないが、地元の有力な…

「徳川家当主に学ぶほんとうの礼儀作法」著:徳川義親

就活しようと思って買った本。まー、こういうのは1冊くらい読んでも悪くはないね。ただ、帯は 「こんな”失礼”をしていませんか?」なんて 脅迫調ですが、徳川さんはもう少し柔軟なエチケット像を提示しており 僕も共感できることが多い。相手のためを思い 互…

後継社長の実務と戦略

要するにこの人自身が二世として苦労しているということではあるか。実際のところ、直に話を聞いたら面白いだろうし ちゃんと仕事もしてくれると思うけど、 正味の話、本としての出来はもう少し足りない。多数の事例があがっているけど それに対してどう思っ…

『ヨブ記』訳:関根正雄

救わない神様の話。ヨブが信仰を試される話だが、思考実験的な趣がある。 シーンは神様と悪魔的なのが話してるところから。 神「やーヨブ君はなかなかの信心者だよ」 悪魔的「いいえ、彼は恵まれてるからですよ。災難に遭えば、神を呪いもするでしょうよ」 …

『社員100人間とまでの会社の「社長の仕事」』古田土 満(注:著者の土は`が付きます。本文では土で代用します)

特に1代目だとどうしても 社長はその会社の看板営業マンとしての 性格が出てしまうのではないかと思う。しかし、そこから営業以外の社長の仕事というものもしていかないと 大きくするのはおろか、会社を運転することすらままならない。果たしてその仕事とは…

「山でクマに会う方法」米田一彦

サブタイトルに「これだけは知っておきたいクマの常識」 これはちょっとずるいですね。 それじゃぁ教えておくれよ、となりますよね。なりませんかね? 中身はいたってスタンダードな日誌風の断章に ワンポイントコメンタリーがついてくる形式。 読み物として…

「小山昇の失敗は蜜の味 デキる社長の失敗術」小山昇

意外とよい本でした。 失敗は恐れてはいけないなどと言いますが、そのもう一歩先の話。失敗してもいい会社、 組織をどうやって作るかということに主眼がある。 実際上司が失敗したっていいと言ってきたって 誰も失敗をしたい人間なんていない。 それにそもそ…

「独学ではじめる税理士試験 合格法バイブル」会計人コース編集部

それなりに色々載ってるんだけど、 雑誌的編集のままコラムしかない感じで はっきり言って本を作るセンスがないと思います。ないよりはマシですが、 税理士ってどうなの?って人が読んでもふにゃっ?となりそう。 やる!と決めた人ならつまみ食いでも使える…

「ポケモンの神話学」中沢新一(角川新書)

中沢新一といえば中学校くらいで虹の理論を読んで こういうモノを書いて見たいと思わせつつも、 あまりにも胡散臭すぎて直視するのが恥ずかしいそんな作家であった。今回もポケモンの神話学ということで 胡散臭さは満載ではありますが、 率直に言って氏がポ…

「エストニア紀行」梨木香歩

旅には目的地を楽しむことと 旅のフィーリングを楽しむこと、大きく2つある。 本書は後者の気分が色濃く出ている。だから観光案内を期待して読むと 少し肩すかし感があるとは思う。 ただ、できるだけ誠実に旅行者として そこにある土地の目線に寄り添おうと…

読了レビュー「マルチチュード(上)」アントニオ・ネグリ マイケル・ハート

民主主義と自由、これが彼らの信じるほどよいものかは微妙だが、 世界の道行きに関してはだいぶ正確に見通してると思える。 荒唐無稽な理論などではなくて、様々な現象をむしろ帰納的に整理して見せたのだ。で中身は?と聞かれるならば、 グローバルと生権力…

読了レビュー「日本恋愛思想史」小谷野 敦著

相変わらずの本である。 小谷野節と言えば聞こえはいいが、 ぬめりとした嫌みがそこかしこにある、 というか本人はあまり嫌みとは思ってないからこうなんだろうけれども、 まぁ、しかしこれも芸のうち。ひたすらに積み重ねられた文学の数々は 全体としてはと…

読了レビュー「飛田で生きる」著:杉坂 圭介

中の人の、それも使用者側からのエッセイというだけで ちょっと希少価値はある。中身はそんなにセンセーショナルではないし、 目を引くところはなかった。 しかしそれは率直な記述であろうと 著者が配慮した結果ではあるだろう。特にこの手の事業を立ち上げ…