まぁタイトル通り健康本です。年を食いました。消化活動している胃腸を労われというお話。 16時間くらい消化にかかるから、その時間丸ごと開けておけばだいぶ楽になるんじゃない?的な。別に上が空いてたら下が詰まってても構わないような気もしますが、 ま…
胡椒が人を翻弄してきた歴史を紐解いていく。帝国主義的な脈絡の中で話せば、海洋大国の東方世界への進出と征服ということではあるが そもそも東インド会社などの設立を考えると、単なる国家事業とは趣が違う。 まず第一に利潤を生むからこその進出であり、…
評論家と数学者の対談ではあるが、 どちらも思考の基礎としての哲学の色があるので さほど遠くない2人とも言える。どちらも好き放題にしゃべっているが どちらかというと岡の方が放埒で 小林がそれを受けたり、なだめたりするといった趣。人間の建設とは教育…
久しぶりに小説を読んだ。不幸には色々な形があるというようなことを 確か、トルストイが言ったと思うけれど、これはそれに近い味がある。不幸というよりは貧しさと言った方がこれにはしっくり来るだろう。 絶望のような感情ではないのだ。摩滅していく日々…
百閒は偏屈である。 会ったことも見たこともないが、それは断言できる。しかし、存外に話を聞いていると人とのつながりは広いし、意外と慕われているような気もする。 阿呆列車の時もお供やら、お見送りやらにぎにぎしくやっている。こういうのは詰まるとこ…
管理ゼロはある種の夢の一つでしょうから これはだいぶ夢のあるタイトルですね。上からのマネジメントを極小に抑えるための色々な工夫が語られていますが 一番のキモは管理しなくても良い人材を捕まえてくる、というところでしょう。同じ方向を見ているかど…
安いニッポンというのは、 それ自体の価値判断の是非は別として、どうも事実のようである。100円ショップのダイソーを例に挙げてあるのだが これが衝撃的で、ほとんどの国で1.5倍以上の値付けになっている。 アメリカでは160円、タイなら210円、フィリピンは…
膠着語を愛してるんだとかいう詩人が身近にいるので なるほどね、とか言いながらも「膠着語とはなんぞや」というままに来ていたので手に取った本。言語はいくつかのグループ分けができて、 そのグループの一つに膠着語があり、日本語はそれに含まれる。日本…
なかなか、本を読む気力が足りなかったので軽めの本を。とはいえ、10年間にわたっての継続取材というのは それぞれの深掘りがなかったとしても十分に意義あるものだし、 年月の中に陰影は現れるものだと思う。フィギュアスケーターとしてとても優秀な選手だ…
時間の話はSFっぽい観念も含めて 気になってしまう。 標高差が時間の進み方に与える影響を調べた実験から始まって 「タイムパラドクス」「時間はなぜ流れる(ように感じる)のか」など ワクワクする小見出しが並ぶ。 とはいえ、中身はそれなりに手ごわい感じ…
これはエッセイではあるのだが、 よくある主観カメラ的な世界を映したものではない。 もちろん、ごく私的なことからはじめられているのだが、 その発話する私の届けたい相手、反響をうかがいたい相手が これらのそれぞれの断章の中に織り込まれている。 大江…
ヒンドゥー教はインドの宗教だということは知っていても それ以上のことはあまりよく分からない。この本を読んでみてそれが分かるかというと さらに混迷を深めてしまう。何故なら系統だった教義であるよりも先に民衆の中にあった伝承や習慣が イスラムなど他…
移民の集まるアメリカの街。 いわゆる貧困の問題や、その中でもさらに皺寄せが来てしまう女性の問題、 ということに触れつつも重く地面に縛りつけられるよりは スキップしながら通りを走り抜けるような軽やかさがある。これはこれである種のステレオタイプの…
ショートショート、と言えば星新一をどうしても引き合いに出してしまう。星新一は清潔で、ユニバーサルで、 近代の夢をそのままユーモアに包んだように感じるのだが、 それに比べるととてもこれは臭う。ここには人が確かに生活している世界があって 「エヌ氏…
どのように偽文書が現れて、あまつさえ普及してしまうのか。椿井文書とは椿井政隆(1770ー1837)が中世のものと偽って作った資料群で 家系図や地図そのほか多様な種類のものがある。こうしたものが作成された背景として 地域ごとの政治的な綱引きの中で、 そ…
グローバルアクターとしての宗教が どのような変容をしていくかについての展望と期待が描かれている。宗教は宗教だけで成り立つわけではなく、 社会的な基盤との関わりの中で信仰の表れは変わってくる。近代化の中で宗教は世俗化の傾向を見せているようでは…
アラブ・イスラーム世界の四行詩である。詩に現われる言葉は 抽象度が高く文化的な共有意識を利用して語られることが多い。 そうなると文化的距離が離れていると理解しにくくなるわけだが その距離を埋めるために各章立てに入る前にエッセイのような簡単な紹…
短い本ではありますが、なんというか いきなり核心に到達しようとする筆致で読み出がある。 大意を入門書的な意味で捉えるとかなり裏切られてしまう。もっとも言っている項目を数えればそれほど多くはない。 たとえばA=notA=A という不思議な等式を しかし…
特に熱心ではないけれど、 一応新劇場版は全部見てきたので世代の嗜みとして感想を言い置いておこうと思う。ネタバレは特に気にしないのでそのつもりで。序盤の戦闘シーンはQでもあったけど 導入のために作成された派手な立ち回り。シューティングゲームの趣…
1922年生まれの知識人である。 戦争をしっかりと焼きつけた世代だ。しかし、そのために考えた人ではないと思う。 もっと柔らかく、生き残った人々の、 生き続ける人々と共に考えようとした人だろう。この本には多数の人物評が記されている。 洋の東西を問わ…
同一性について考える手がかりがあると思って、読んでいったが 固有名の指示とは何によってその固有性が担保されているのか、という問いだけではなく 一般的な指示語についても語るし、指示語との必然的なつながりと アプリオリな繋がりなど思った以上に丁寧…
言わずと知れた「こち亀」の作者の本である。長寿連載というだけでも十分に偉大なことだけれど、その間ただの一度も落とさないというのは やはり並大抵のことではない。とはいえ、ビジネス本として見れば取り立てて大きなことはないと思う。 それは要するに…
科学相談の電話は聞いたことがあるけれど、 電話をかけたことはない。聞きたいことはあるような気がするけど 電話をかけてまで知りたいことがあるような気がしなかった。 でも、きっと興味深く聞いてたと思う。こういうところで聞く子どもたちは大抵身近な大…
ファウストはゲーテが最初に考えた話ではないらしいと ベンヤミンの本で知ってがぜん興味が出てきたのであった。元にあった話を肉付けすることで名声を得るのは 本人の手柄がどこにあるか分からないと難しいだろうと思えるからだ。果たして分厚い二部のうち…
インドでの抒情的なエッセイのようなタイトルであるが 非常に企みの上手い作家らしく、あれよあれよという間に 抜き差しならない場所に連れ込まれてしまう。それにしても 「抜粋集(アンソロジー)には御用心」とか言われるし、 そもそも訳者の須賀敦子が解…
タイトルになっている対比は 学術的な対象としてのカミと現に信じられている神 または、体系立てられる前のカミと教理とともにある神 2つの対比がイメージされているように思う。帯にも「原初のカミをたずね、カミと出逢うために!」とある。 この本に書かれ…
中身のない鎧が一人で勝手に動いてたらホラーなんだろうけど それがちょっと間抜けなくらい生真面目で、 手のかかる道連れに頭を悩ますとか、 カルヴィーノらしいユーモアのある楽しい小説でした。とはいえ話の全体の作りはなかなか込み入っていて ユーモア…
実務者向けのと言うことで、中級者レベルの本ではあると思いますが 必要以上に難しくはしてるわけではないので、ある程度基礎的な知識があれば読めるかなと思います。そして毎月の月次決算からわかることと、 キーになる指標の解説はしっかりしていると思い…
いかにもロマンチックなタイトルだ。 夢十夜とか、千一夜物語 夜の数を数えて一体どうするのだろう。数えることで何かが変わることはないが、 しかし、人は数えてしまうのだ。 例えば夜が明けた時にかつて蒔いた種が芽吹いていないかと期待しながら。本書は…
人と猿の違いはどのあたりにあるのかということは 「人間の条件」についての思索を行うことに近い。1991年に出版された本なので、 「現在」とは言っても差し引かなくてはいけない部分が多いが 当時の先端の研究員たちに深く広く話を聞いていく。 教授レベル…