「租税法入門」著:増井良啓
専門書ではありますが、これ単独できちんと読めます。
いい入門書はその分野の意義と概観をどう押さえるかにかかってます。
その点、序論から紙幅を40pに渡って割いて、
租税法の意義に始まり歴史的過程を見せてくれていて
初心者としてとても助かりました。
どちらかというと法制の策定が視野に入っている分野のようですが
適用される側としてもその視点を共有するのは意味のあることでしょう。
また、各論ではより深く掘り下げつつ、
コラムで実際の事例などを拾っているうえに、
各チャプターに参考文献をつけてくれる親切仕様。
マニアックだから星3つにしようと思ったけど、
減点する内容が一個もないので、星4つに直しときます。
有斐閣だし、指定図書にしてる大学もあるんじゃないかと思うけど、
学生さんは買ったら隅まで読んでおくといいよ。
- 作者: 増井良啓
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2014/03/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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累進税率の存在が事前にわかっていれば、高所得者になる可能性のある人は、労働を控えて余暇を増やすかもしれない(代替効果:substitution effect)。逆に、税引後の手取りを増やそうと考えて、もっと働こうとするかもしれない(所得効果:incom effect)。いずれの効果が勝るかは実証の問題である。(p.19)
分からないことは(調べないと)分からないと言うのは好感が持てる。
こういう態度が科学的と呼ばれるべきものだと思う。