ヨモジジ(freaks ver.)

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『新財務諸表論 第5版』著:田中 弘

それぞれの会計基準について、
会社法との差異や国際会計基準の流れなどをわかりやすく解説してくれる。

ただし、この著者の方の見方というものがしっかり出ているので
初学者としてはどこまで採用すべきかは他の本も読むべきかと言う気もする。
ただ、この本に関して言えばそういった立場を明言した上で
論点を明確にしているので、十分にフェアな本だろう。

会計原則の歴史的な扱われ方など
直接現在の会計に反映しないあたりの話も興味深く読めた。

各章ごとの用語解説も充実しています。

新財務諸表論 〔第5版〕

新財務諸表論 〔第5版〕

前者は「財産の変動」を測定するのが会計(財産計算説)だというし、後者は、「利益の計算」こそ会計の仕事(利益計算説)だという。これだけ違った会計の定義が、現在の会計学で、2つとも堂々と通用しているのである。(p.19)

この2つはぱっと見それ程違わないようにも見えるけれど、
ここら辺に例えば粉飾の余地があったりするわけで。くわばらくわばら。

「企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない。」
これを一般に保守主義の原則と呼んでいる。正直にいって、この一文を何回読んでも、わたしには何をいっているのか理解できない。(p.151)

理論系でここまではっきり理解できないという人も珍しい。
学者らしい頑固さで、好感は持てる。