「アホウドリを追った日本人」著:平岡昭利
副題には一獲千金の夢と南洋進出とある。
アホウドリが儲かるとは、どういうことか。
なんでもアホウドリは警戒心が弱いので特別な道具が無くても
ひたすら撲殺で捕まえられるらしく、それによって羽毛を輸出していたらしい。
明治の初頭から羽毛の輸出はそれなりの規模もあった。
そうした背景の中海洋進出をしていった実業家たちと、
それらに振り回される政府、そしてこき使われる労働者たちの
三者三様のあり方が見ものである。
それにしても一人1日100羽を捕まえたという数字は
仮に10時間くらい働いたとして1時間10羽、
ほぼ流れ作業のように捕まえてるんだろう。
心の平衡が保てる気がしないね。
逆方向から来たアメリカとのバッティングなど
今もくすぶっている領有権のさや当てもこの時にすでに起きている。
明治期の1つの側面を見せてくれる興味深い本に仕上がっていると思う。
アホウドリを追った日本人――一攫千金の夢と南洋進出 (岩波新書)
- 作者: 平岡昭利
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2015/03/21
- メディア: 新書
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小さな無人島のプラタス島(東沙島)が、労働者がひしめきあう西澤島へと変貌し、カツオドリが飛び交う風景が描かれた私製紙幣が流通する、単一企業島「西澤王国」がここに形成されたのである。(p.168)
帝愛グループのペリカを連想するじゃないか。