「日本電産永守重信が社員に言い続けた仕事の勝ち方」著:田村賢司
日本電産はこのところの日本の電機メーカーの中で
気を吐いている貴重な会社のうちのひとつだろう。
積極的にM&Aを繰り返しながら、
それぞれを再建させていって、独自の地歩を築いている。
精神論的なことを言うので、あまり信頼感は高くないのだけれど
実際に成功している以上、認めなければいけない部分はあるはずだ。
口にする精神論の中にもよいマインドセットはあるんだろう。
さて、実際に中を見ればモーレツ社員的なこともあるが
3現主義の徹底というのが永守のポイントで、それを
工場の外にも適用しているのが永守の原則であるように見える。
3現主義とは「現場、現物、現実」のことで問題に最接近するかたちで
解決を目指すような手法だ。
こうした現場主義的な発想は工場のラインから離れるほど薄れていくが
それぞれの現場にプレッシャーを常にかけるのが特徴的だ。
むしろ、現場というよりは経営幹部に示す方向性に永守らしさが現れていて
こうした指向性が再建を成功させる哲学として錬成されているのだろう。
- 作者: 田村賢司
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「部下を思ったように動かせないと感じているリーダーは、自分の何気ない言動を見直して、むしろその反対をやってみるべき」(p.130)
極端に動かないと変わったと感じてもらえないことも多いし、
何より自分自身の行動を微妙にチューニングするのは割と修行がいる感じ。
毎週土曜日の朝、各社の社長の元にはそれぞれ大量のメモが集まる。それを社長たちは読んで要点をまとめ、昼頃、永守にメールする。永守は世界のグループ企業、308社から集まるそれを土曜日にすべて読みこなし、別に各地の中堅クラス以上の幹部から寄せられるメール約1000通にも目を通すという。
もちろん読みっぱなしということはなくて、日曜日は朝から週報リポートにもメールにも返事を送り始める。(p.193)
これも現場主義的な発想だろう。すさまじい。