「経理高速化のための7つのITツール活用戦略」著:古旗淳一
ITツールと言っても高価なシステムを導入しろという話ではなくて
当たり前にある環境の使い方、考え方の紹介である。
とはいえ、そもそもコンピューターの使用自体が
それほど浸透から時間の経っていないもので、
使用者に対するリテラシーの要求水準がばらついているのが現状だろう。
本書はハイリテラシーを強要するものではなくて、
どの水準でPCの活用を整備するかの目安を示したものだ。
たしかに難しいことを特にしなくても
ファイル名とフォルダの階層化の仕組みであるとか、
こういったところを整理するだけで、pcでの効率はたしかにぐっとあがるものだ。
ソフトの具体的なものとしてはエクセルしか取り上げていないし、
そこでも永続的なメンテナンス可能性のためにマクロは避けようと一貫している。
また、最初に配置されたスケジュールの可視化と美しい元帳
というのは経理の基本にして最重要なところだろう。
入門者が読むにしては権限が足りない気もするので、
中級者が自社の仕組みの振り返りをする時のひとつとしてちょうどよいかもしれない。
- 作者: 古旗淳一
- 出版社/メーカー: 税務経理協会
- 発売日: 2015/12/28
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
決算修正は、すべての資産・負債の残高をあるべき残に合わせる作業といってもいいぐらいです。(p.60)
財務諸表全体に対して作成責任を持つ管理職は、同時に財務諸表を説明する責任を持っています。なぜ売上高が◯%増えたのか、なぜ銀行からの借入金が◯◯百万円増えたのかといった、会計数値の裏側にある「経営」そのものを理解し、経営者や銀行、投資家などに理路整然と説明できなければいけません。(p.148)