ヨモジジ(freaks ver.)

本と雑貨と音楽と、街歩きが好きなオッサン。1981年生まれの珈琲難民が好き放題に語る。レビューのためのブログ。

『異文化理解力』著:エリン・メイヤー 訳:樋口武志

副題に「ビジネスパーソン必須の教養」とあるけれど、
これの意味するところはこれが実用書であるということだ。

なので、繊細な各文化の記述を期待してはいけない。
あくまで、どのような形でギャップに足をとられることがありうるか、
ということをまとめた本である。

カルチャーギャップが起きる8つの軸の取り方一つをとってもそうだ。

1、コミュニケーション(ローコンテクスト、ハイコンテクスト)
2、評価(直接的なフィードバック、間接的なフィードバック)
3、説得(原理優先、応用優先)
4、リード(平等主義、階層主義)
5、決断(合意志向、トップダウン
6、信頼(タスクベース、関係ベース)
7、見解の相違(対立型、対立回避型)
8、スケジューリング(直線的な時間、柔軟な時間)

これは何故この8つなのか、どこにも根拠はない。
かぶっているところはないのか?これ以外にも考えられないか?
という点はある。

しかし、実用、というのは実際にこれで困ったことがあるから
こうなるのだ、ということでまったく問題無い。

そして、大雑把に受け入れてみてしまえば、
確かにそれぞれの段階で行動パターンが違いそうだということも分かる。

この本の良い点は、たとえば、
1と2のような関連していそうなものでも別個に考えるべきだという事例を示すことで
先入観による付き合いを戒めるところだ。

(たとえば、ローコンテクストで直接的な言い回しをすることが多いが、
マイナス評価に関しては間接的になるアメリカなど)

また、ギャップは国対国だけでないと思えば
自分の行動様式と相手の行動様式の違いに気を使うことで
多くの物事をスムーズにする可能性がある。

価値観の多様化が避けられない状況の中で
こうしたギャップについての実用書は特に求められるものだろう。

誤解によって行き詰まったりいら立ちを感じた時は、自分を下の立場に置き、自分自身を笑い、相手の文化をポジティブな言葉で表現するのがどんなときでも効果的な方法だ。(p.74)

自分のコミュニケーションスタイルを説明するべく文化の違いに言及しよう。(p.110)

違うことをポジティブにするためにも、
穏やかに違いに自覚的であることが大事だ。