ヨモジジ(freaks ver.)

本と雑貨と音楽と、街歩きが好きなオッサン。1981年生まれの珈琲難民が好き放題に語る。レビューのためのブログ。

2020-01-13から1日間の記事一覧

『パタゴニア』著:ブルース・チャトウィン 訳:芹沢 真理子

祖母の家に飾られた恐竜の皮から話ははじまる。それがあったと言われる南米のパタゴニアへと旅は進んでいくのだが、 なぜか話はすぐにそれていく。 無数のならずものたちが大西洋を渡り、南米で暴れまわっていた。足跡は重ね合わされて、地理と時代は互いに…

『重力と恩寵』著:シモーヌ・ヴェイユ 訳:田辺保

重力とは悪しき惰性のことであり、 恩寵は神から求められることなく与えられる奇跡のことだ。思想家というよりは はっきりとキリスト教に近い神学の特性を持っている。 しかし、彼女はキリスト教者ではない。 ユダヤ人の左派闘士であるという肩書すらついて…

『メルケルと右傾化するドイツ』著:三好範英

メルケルは確かに希有な人物だ。 しかし、歴史は適した人間を連れてくるのであって、 メルケルでなくても、同じような人物がドイツに現れたに違いない。筆者の筆致も彼女の特性を抑制的に描いている。ここでバランスをとるように現れているのは 「右傾化する…

『トリエステの亡霊』著:ジョーゼフ・ケアリー 訳:鈴木昭裕

須賀敦子の「トリエステの坂道」以外にこの場所について何も知らなかった。 須賀の作品では詩人のサーバがいた、というくらいしか覚えがなかったのだが、 「サーバ、ジョイス、ズヴェーヴォ」というサブタイトルの並びでなんとなく手に取った。今なら聖地巡…