「文明の十字路」著:岩村 忍
これを読んでさらに分からなくなりました。(笑
中央アジアの歴史の変遷というものは本当に激しく、
ヨーロッパや中国などの比ではない。地元の勢力はあるものの、
それより強大な帝国が時期ごとに東西南北すべての方向から波のように押し寄せてくる。
これでは確かに安定的な政治体制の確立自体が難しい。
それでなくても、定住できるオアシスが限られているので
遊牧民が多く、都市的な発展をしにくかったという事情もある。
読めば読むほど、今も燃えている火種が
いかに消しがたいものかということはわかる。
叙事詩のように淡々と各時代各帝国の英雄たちが現れ死んでいくので、
テンポはいいが頭に入りきらないところもある。
このような落ちこぼれのために最後に年表もあるのはちょっと嬉しい。
- 作者: 岩村忍
- 出版社/メーカー: 講談社
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イスラムが中央アジアにはじめて導入されたのは、八世紀初頭のことであるが、中央アジアのイスラム化が完成されたのは十八世紀のことだといわれている。この事実一つからみても、マルクス主義イデオロギーを中央アジアに浸透させるのは、容易ではなかったことがわかる。
政治体制が一夜にして変わることなどありふれているが、
社会が根本的に変わるのには、やはり、時間がかかる。
不断の努力、である。民主主義というイデオロギーも
本当に浸透しているんだろうか、とかね。