ヨモジジ(freaks ver.)

本と雑貨と音楽と、街歩きが好きなオッサン。1981年生まれの珈琲難民が好き放題に語る。レビューのためのブログ。

「低予算でもなぜ強い?」著:戸塚啓

ベルマーレJリーグが始まった時に「ベルマーレ平塚」という名前だったが
気づけば「湘南ベルマーレ」と名前を変えていた。

色々大変なんだろうと思ったが、この色々がなんなのかはよく考えずにいた。
別に何かのマンガの引きでもないので、それが自分の生活に関わっているとか
世界の秘密につながっているわけでもない。

単に地方の弱小チームがどのように生存戦略を作っていったか、
ということでしかない。
それだけだが、それが誠実で考え抜かれたものであるならば
魅力的な輝きをもった活動につながっていく。

大きい看板企業がつかなくても観客を沸かせてさらに強い。
悔しいけど、素晴らしい。
地域に根付いた輝く活動が津々浦々に広がるとしたら、
これほど地域創生の理想的なイメージに重なるものもないだろう。

自宅から練習に通える範囲内の子どもを育てる。育成とは、できる子どもを集めることではなく、育てることだ。(p.49)

これは提携したスペインのクラブチームから聞かされた言葉である。
当たり前のようだが、これができているところはそれほどないのではないか。

30歳前後の選手が多ければ、練習の強度に配慮が加えられる。スケジュールが過密になれば、最優先事項は体力の回復だ。(中略)将来性のある若手が伸び悩むのは、そのほとんどにおいて絶対的な練習量の不足に理由がある。(p.148)

少なくとも金銭的なメリットを提示できない中、正直にかつ誠実に選手にどういうメリットを提案できるかということの1つ。この辺の打ち出しはなるほど、と思った。

ベルマーレの足りないところには触れずに、話を盛ったり偽ったりして営業するのは、守備一辺倒のカウンターサッカーみたいだと思うんです。勝てばいいや、というサッカーと同じ気がします。そうではなくて、誠実にクラブの状況を伝える。誠実な戦いを挑む。それで負けたとしても、僕は後悔しないですし、ウチのサッカースタイルと営業のスタイルは同一であっていいのかなと思います。(p.191)

選手引退から営業に移った坂本のコメント。
3年目での言葉ということを割り引いてもこの理念の浸透具合はすごいことだ。