ヨモジジ(freaks ver.)

本と雑貨と音楽と、街歩きが好きなオッサン。1981年生まれの珈琲難民が好き放題に語る。レビューのためのブログ。

「色彩の手帳」著:加藤幸枝

都市計画を与件として個別の建築の色合いを考えるときの
実践的なヒントが書かれている。

実務的なトーンの本ではあるけれど
写真はどれもフルカラーで(当たり前か)綺麗ですね。

実直な選び方が中心ではあるものの
その中でもなぜその色を選ぶのか、責任をもって取り組んでおられるのが伝わる。

周囲の環境(自然も人工物も含め)との
調和の中で見え方を考えるという基本方針の中であらわれる色合いは
この場所に根付く建築であるようにという願いを込めたメッセージでもあるだろう。

モノトーンに見えるようなところにも
イエローをうっすらと入れているのを見つけるなど
プロの仕事と思う。

自然界の基調色は、大きな面積を持って存在しますが、解像度を上げていくと細かな粒子の集積であることがわかります。
まとめて灰色に見える河原の石もひとつひとつ丁寧に観察していくと、黄味や緑味や青味など、ほのかに色気を持ったグレイの集積であることがわかります。(p.78)

こういう細やかな観察の中から自然色の多様さ、
と言われるとなるほどと思う。
さまざまなテクスチャがありながら自然色として山を見たり
河原の石を見たりする。その感性はまだしばらく人の基調にあるだろう。