「財布のつぶやき」著:群ようこ
久しぶりに名前を見かけたので手に取った。
思えばこの辺の気楽なエッセイ本は
椎名誠、原田宗典、とならんで僕が本を定期的に読み飽きた時に
それでも完全に文字から落ちないためのセーフティネットみたいにあったわけで
つまるところ、ちょっと疲れていたし手に取った。
開けてみれば期待を裏切らないお気楽ぶりで
けなすのではないけれど、いい具合に頭がよろしくない。
とことん直感的で反射的な言葉の連なりだけれど
裏表なくてあっさりしているので、それがこの人のいいところだ。
まぁ、しかし、ご家族の不満は洒落にならなくなるから
愚痴にするのはよしたほうがいいかな。
作家ならもう少しこじれて問題になってから書いた方がいい
というのは僕が性悪すぎるんだろう。
面白いおばさんなので長生きしますように。
- 作者: 群 ようこ
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/02/25
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ホームレスのおじさんがにこにこして近づいてきて、無言で私のコートを撫で、またにこにこしながら去っていったことがあった。私はびっくりして立ちつくしていたのだが、気に入って買ったもので、
「おじさんもこのコートを見て、触ってみたくなったのに違いない」
と嬉しかった。(p.58)
このオプティミスティックを通り越した感じ、すごいよね。
組み立て式のダイニングテーブルの金属製の脚がどうしても気になってきたので、木製の脚のみを購入しようと探してみた。メープル材の天板にぴったり合う色ではなくても、私の短い足に合わせた座面の低い椅子のために、脚の長さが短めのものを探した。天然木でちょうどいいものを見つけ、早速購入した。すぐに脚は届き、一人で天板をはずし、購入した脚の上にのせた。私のイメージでは、今までの金属と木といったモダンなタイプではなく、木製の素朴なテーブルができあがるはずだった。ところがただ高さを低く、木製の脚にしただけなのに、デンマーク製の天板なのに、シンプルな形の脚なのに、テーブルがおいてある場所の雰囲気が、一気に居酒屋になってしまったのであった。(p.126)
どうしてうまく行くと思ってしまったのか。
自分で脚だけ変えるとかハードル高すぎることを果敢にやってものの見事に失敗する。
この人の時代にYouTubeがあれば一角のチャンネル持ちになったであろう。