ヨモジジ(freaks ver.)

本と雑貨と音楽と、街歩きが好きなオッサン。1981年生まれの珈琲難民が好き放題に語る。レビューのためのブログ。

「財務会計講義」著:桜井久勝

金融クラスタでお薦めしてる人がいたので読んでみた。理論的な面でかなり包括的に解説してもらえる。専門書としての難しさはあるけれど、 ややこしいところはその都度、腑分けした表が出たり、 仕訳の参考例が載っていたり、丁寧なつくりになっていると思い…

「「空腹」こそ最強のクスリ」著:青木厚 

前に読んだ16時間あけなさいと似たような文脈の本ですね。 同じ内容でも実践上の書き方に違いがあるかもしれないので。前のものよりも全体的に脅し的な内容が多く、 はぁそうですかというところ。糖質制限と比較した優位性にも簡単に触れたりしているのはあ…

「色彩の手帳」著:加藤幸枝

都市計画を与件として個別の建築の色合いを考えるときの 実践的なヒントが書かれている。実務的なトーンの本ではあるけれど 写真はどれもフルカラーで(当たり前か)綺麗ですね。実直な選び方が中心ではあるものの その中でもなぜその色を選ぶのか、責任をも…

「財務3表一体理解法」著:国貞克則

財務3表とは「貸借対照表」「損益計算書」に加えて 「キャッシュフロー計算書」まで合わせた3つの会計書類のことだ。本書はそれらの数字のつながりと 表の内容の意味をとても丁寧に教えてくれる。自分としては食い足りない感じではあるけれど 人に説明する時…

「地政学入門」著:佐藤優

2015年から2016年にかけて行った連続講義(市民講座的なものか)を元にした講義録である。ということはおおよそ想像がつくと思いますが 広く浅いかんじです。カバー裏に「帝国化する時代を読み解く鍵となる政治理論、 そのエッセンスを具体例を基に解説する…

「ホテル」著:エリザベス・ボウエン 訳:太田良子

これは装丁で買ったと言って差し支えない本で 中身も非常に香り高いような気がしたんだけれど、 個人的にはうまく読めなかった。イタリアのホテルにバカンスに来た人々の 交差する人間模様と行ったところ。僕が恋愛のさやあて的なものに興味が持ちにくいうえ…

「正解は一つじゃない 子育てする動物たち」齋藤慈子ほか編

動物学者たちによる、それぞれの動物の子育てを紹介する本。 もっとも小さいものはアリから、大きなものはゴリラまで19もの種類の生き物たちが出てくる。よい子育てについて人の親は悩むが 「よい」とは何かを相対化するための試みでもある。当然、動物種に…

「トーラーの名において」著:ヤコヴ・M・ラブキン 訳:菅野賢治

副題は「シオニズムに対するユダヤ教の抵抗の歴史」である。イスラエルは非常に問題を孕んだ国家として立ち現れている。 その際にユダヤ教とイスラム教の、つまり宗教と宗教の問題として外部からは見えてしまう。 しかし本書はイスラエルという国家がユダヤ…

「“空腹”が健康をつくる」著:三浦直樹

まぁタイトル通り健康本です。年を食いました。消化活動している胃腸を労われというお話。 16時間くらい消化にかかるから、その時間丸ごと開けておけばだいぶ楽になるんじゃない?的な。別に上が空いてたら下が詰まってても構わないような気もしますが、 ま…

「胡椒 暴虐の世界史」著:マージョリー・シェファー 訳:栗原泉

胡椒が人を翻弄してきた歴史を紐解いていく。帝国主義的な脈絡の中で話せば、海洋大国の東方世界への進出と征服ということではあるが そもそも東インド会社などの設立を考えると、単なる国家事業とは趣が違う。 まず第一に利潤を生むからこその進出であり、…

「人間の建設」著:小林秀雄・岡潔

評論家と数学者の対談ではあるが、 どちらも思考の基礎としての哲学の色があるので さほど遠くない2人とも言える。どちらも好き放題にしゃべっているが どちらかというと岡の方が放埒で 小林がそれを受けたり、なだめたりするといった趣。人間の建設とは教育…

「ミシンと金魚」著:永井みみ

久しぶりに小説を読んだ。不幸には色々な形があるというようなことを 確か、トルストイが言ったと思うけれど、これはそれに近い味がある。不幸というよりは貧しさと言った方がこれにはしっくり来るだろう。 絶望のような感情ではないのだ。摩滅していく日々…

「追懐の筆」著:内田百閒

百閒は偏屈である。 会ったことも見たこともないが、それは断言できる。しかし、存外に話を聞いていると人とのつながりは広いし、意外と慕われているような気もする。 阿呆列車の時もお供やら、お見送りやらにぎにぎしくやっている。こういうのは詰まるとこ…

「管理ゼロで成果は上がる」倉貫義人

管理ゼロはある種の夢の一つでしょうから これはだいぶ夢のあるタイトルですね。上からのマネジメントを極小に抑えるための色々な工夫が語られていますが 一番のキモは管理しなくても良い人材を捕まえてくる、というところでしょう。同じ方向を見ているかど…

「安いニッポン」著:中藤玲

安いニッポンというのは、 それ自体の価値判断の是非は別として、どうも事実のようである。100円ショップのダイソーを例に挙げてあるのだが これが衝撃的で、ほとんどの国で1.5倍以上の値付けになっている。 アメリカでは160円、タイなら210円、フィリピンは…

「ことばは国家を超える」著:田中克彦

膠着語を愛してるんだとかいう詩人が身近にいるので なるほどね、とか言いながらも「膠着語とはなんぞや」というままに来ていたので手に取った本。言語はいくつかのグループ分けができて、 そのグループの一つに膠着語があり、日本語はそれに含まれる。日本…

「共に、前へ、羽生結弦」著:日本テレビ「news every.」取材班

なかなか、本を読む気力が足りなかったので軽めの本を。とはいえ、10年間にわたっての継続取材というのは それぞれの深掘りがなかったとしても十分に意義あるものだし、 年月の中に陰影は現れるものだと思う。フィギュアスケーターとしてとても優秀な選手だ…

『時間はどこから来て、なぜ流れるのか?』著:吉田伸夫

時間の話はSFっぽい観念も含めて 気になってしまう。 標高差が時間の進み方に与える影響を調べた実験から始まって 「タイムパラドクス」「時間はなぜ流れる(ように感じる)のか」など ワクワクする小見出しが並ぶ。 とはいえ、中身はそれなりに手ごわい感じ…

『新年の挨拶』著:大江健三郎

これはエッセイではあるのだが、 よくある主観カメラ的な世界を映したものではない。 もちろん、ごく私的なことからはじめられているのだが、 その発話する私の届けたい相手、反響をうかがいたい相手が これらのそれぞれの断章の中に織り込まれている。 大江…

『ヒンドゥー教10講』著:赤松明彦

ヒンドゥー教はインドの宗教だということは知っていても それ以上のことはあまりよく分からない。この本を読んでみてそれが分かるかというと さらに混迷を深めてしまう。何故なら系統だった教義であるよりも先に民衆の中にあった伝承や習慣が イスラムなど他…

『マンゴー通り、ときどきさよなら』著:サンドラ・シスネロス 訳:くぼたのぞみ

移民の集まるアメリカの街。 いわゆる貧困の問題や、その中でもさらに皺寄せが来てしまう女性の問題、 ということに触れつつも重く地面に縛りつけられるよりは スキップしながら通りを走り抜けるような軽やかさがある。これはこれである種のステレオタイプの…

『突然ノックの音が』著:エトガル・ケレット 訳:母袋夏生

ショートショート、と言えば星新一をどうしても引き合いに出してしまう。星新一は清潔で、ユニバーサルで、 近代の夢をそのままユーモアに包んだように感じるのだが、 それに比べるととてもこれは臭う。ここには人が確かに生活している世界があって 「エヌ氏…

『椿井文書ーー日本最大級の偽文書』著:馬部隆弘

どのように偽文書が現れて、あまつさえ普及してしまうのか。椿井文書とは椿井政隆(1770ー1837)が中世のものと偽って作った資料群で 家系図や地図そのほか多様な種類のものがある。こうしたものが作成された背景として 地域ごとの政治的な綱引きの中で、 そ…

『<私>だけの神』著:ウルリッヒ・ベック 訳:鈴木直

グローバルアクターとしての宗教が どのような変容をしていくかについての展望と期待が描かれている。宗教は宗教だけで成り立つわけではなく、 社会的な基盤との関わりの中で信仰の表れは変わってくる。近代化の中で宗教は世俗化の傾向を見せているようでは…

『ルバーイヤート』著:オマル・ハイヤーム 訳:岡田恵美子

アラブ・イスラーム世界の四行詩である。詩に現われる言葉は 抽象度が高く文化的な共有意識を利用して語られることが多い。 そうなると文化的距離が離れていると理解しにくくなるわけだが その距離を埋めるために各章立てに入る前にエッセイのような簡単な紹…

『仏教の大意』著:鈴木大拙

短い本ではありますが、なんというか いきなり核心に到達しようとする筆致で読み出がある。 大意を入門書的な意味で捉えるとかなり裏切られてしまう。もっとも言っている項目を数えればそれほど多くはない。 たとえばA=notA=A という不思議な等式を しかし…

『シン・エヴァンゲリオン』庵野秀明

特に熱心ではないけれど、 一応新劇場版は全部見てきたので世代の嗜みとして感想を言い置いておこうと思う。ネタバレは特に気にしないのでそのつもりで。序盤の戦闘シーンはQでもあったけど 導入のために作成された派手な立ち回り。シューティングゲームの趣…

『思想をつむぐ人たち』著:鶴見俊輔 編:黒川創

1922年生まれの知識人である。 戦争をしっかりと焼きつけた世代だ。しかし、そのために考えた人ではないと思う。 もっと柔らかく、生き残った人々の、 生き続ける人々と共に考えようとした人だろう。この本には多数の人物評が記されている。 洋の東西を問わ…

『名指しと必然性』著:ソールA.クリプキ 訳:八木沢敬、野家啓一

同一性について考える手がかりがあると思って、読んでいったが 固有名の指示とは何によってその固有性が担保されているのか、という問いだけではなく 一般的な指示語についても語るし、指示語との必然的なつながりと アプリオリな繋がりなど思った以上に丁寧…

『秋本治の仕事術』著:秋元秋本治

言わずと知れた「こち亀」の作者の本である。長寿連載というだけでも十分に偉大なことだけれど、その間ただの一度も落とさないというのは やはり並大抵のことではない。とはいえ、ビジネス本として見れば取り立てて大きなことはないと思う。 それは要するに…