ヨモジジ(freaks ver.)

本と雑貨と音楽と、街歩きが好きなオッサン。1981年生まれの珈琲難民が好き放題に語る。レビューのためのブログ。

2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「七緒のために」著:島本理生

正直に言って「七緒のために」は星4つで、傑作ですが、 後半の「水の花火」はいかにも習作であって 前のがあるから読めるという体なので 本全体としてはやはり星3つにせざるを得ない。最高でも星4つなのは 丁寧すぎて繊細すぎるというあたりで 手癖と言うほ…

「英語の帝国」著:平田雅博

英語の拡散とその需要のされ方についての通史である。紛れもなく帝国的な広がり方と言えるし、 もしかすると帝国主義とは言語の不均衡な浸透を言うのではないかとも思える。しかし、当然軍事的な侵略のみで言語の浸透は起きない。 当該地方の積極的な受け入…

『新財務諸表論 第5版』著:田中 弘

それぞれの会計基準について、 会社法との差異や国際会計基準の流れなどをわかりやすく解説してくれる。ただし、この著者の方の見方というものがしっかり出ているので 初学者としてはどこまで採用すべきかは他の本も読むべきかと言う気もする。 ただ、この本…

『ヨーロッパ退屈日記』

軽いエッセイはいいもんだ。 中身のない会話でも楽しくできるのは そこにヒューモアがあればこそだと思う。そしてこの伊丹十三という青年は年頃らしい 高潔さをもって世界を観察している。 本当によいものが世の中には存在するに違いないという期待と、少し…

『豊乳肥臀』(下)著:莫言

なるほどこうやって終わらせるか。 あくまで絵巻物であり、叙事詩として描いたのだから こうやってもよいだろう。共産党時代は内戦や戦争の頃に比べれば 死ににくなったかもしれないが毀誉褒貶の激しさは変わらない。主人公もその荒波の中で、 揺れ動いた中…

『日本の神々』谷川健一

幅広く神々を取り扱っているが 少々散漫な印象的はあるかもしれない。最初は言葉のつながりから語彙にイメージを与えていき。 中盤では歴史的な趨勢をおさえながら 神や霊的なものがどのような意味を持っていたか見せる。 終盤では実地の取材に即して展開す…