ヨモジジ(freaks ver.)

本と雑貨と音楽と、街歩きが好きなオッサン。1981年生まれの珈琲難民が好き放題に語る。レビューのためのブログ。

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『技術の街道をゆく』著:畑村洋太郎

書名のとおり、技術の現場を巡りながら 技術がいかにして受け継がれ、かつ変容してきたかということを見せてくれるエッセイだ。ただ、正直に言うと話のネタはそれぞれ面白いのだが 本の全体の方向性はあまりうまく作れなかったのではないだろうか。 おそらく…

『ケンブリッジ・サーカス』著:柴田元幸

言わずと知れた英米文学翻訳者の柴田さんである。 旅のエッセイなどと帯に書いてあるけれど、しかし旅にしては未知のものが少なすぎる。 これは彼の仕事場の通勤物語だろう。とはいえ、人の仕事場はいつも企業秘密とやらで なかなか見えるものではないから、…

「ヴォイニッチホテル」著:道満晴明

短編を主戦場とする著者の珍しい3巻にわたる長編。設定の盛り込み密度は常にマシマシ。 包むつもりもない風呂敷で 人が楽しくホラ話をする感覚だと、こんなものかもしれない。 (チャック=ノリスの挿話なんて特に必要だったろうか?)孤島にあるホテルを舞…

「ねじの回転」著:ヘンリー・ジェイムス 訳:蕗沢忠枝

ちょっとしたホラー小説というところなんだけれど、 まったくうまく噛み合わなかった。その「恐ろしいもの」を直接に描かないことで恐怖を与えるという書き振りなのはわかる。 しかし、書かれていないものの恐怖はリアクションだけで伝わるかというとそうで…