第四の大陸:読了レビュー
地理学上の発展と、アメリカの発見、
そしてさらにキリスト教的世界の変遷をからめて
歴史の移り変わりを見る本。
どれも興味深いのではあるけれど、
どれかひとつにしぼっても十分に面白いだろうに
かえって欲求不満に感じるところもある。
人によっては、未開の地を探検するコロンブスに
ベンチャー的な精神を見出し、その時の
パトロンとの関係であるとか、実際的な諸問題を考えるきっかけになるかもしれない。
あるいは、古代の世界観について、
あきれるような間違いとともに、また同時に早くから
地球が球面であることを理解していたことなどをあわせて見るに
いかに想像力と推測が仕事をしてきたかについて想いを馳せてもいい。
アメリカという名前については
「場所のない大地」ということで同時代の「ユートピア」概念を引き出している。
僕はふと、カズオイシグロの「わたしを離さないで」に出てくる「ロストコーナー」を思い出した。
どちらも科学技術(あるいは知識)と
倫理(あるいは宗教的世界観)の摩擦から生じた文化的な飛び地である。
これはフロンティアなのか、それともモラルの崩壊なのか、
アメリカに引きつければ、旧世界を残しながらも、
その地には独自の文化とモラルが改めて育つ、とは言えるか。
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