「ポケモンの神話学」中沢新一(角川新書)
中沢新一といえば中学校くらいで虹の理論を読んで
こういうモノを書いて見たいと思わせつつも、
あまりにも胡散臭すぎて直視するのが恥ずかしいそんな作家であった。
今回もポケモンの神話学ということで
胡散臭さは満載ではありますが、
率直に言って氏がポケモンを満喫しているのがよく分かってわりとなごむ。
おおむねフロイトの話で目新しさはないものの、
ゲームとデータで構築された世界に文化としての意味を与えたのは
ひとつの道しるべとして評価できるかもしれない。
消費される対象というだけではなく、
生産される場としてインベーダーゲームから辿っていくのは、
いかにもアカデミズムの手つきだが、
この人は根が山師だからまぁ、いいんではないか。
- 作者: 中沢新一
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2016/10/20
- メディア: 新書
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プレイヤーがおこなうシューティングは、ここでは相手の破壊を意味していない。顕在(リアル)の世界にちょっとだけ顔をあらわしたものを、境界面を超えてまた潜在空間のほうに押しもどそうとするために、シューティングがおこなわれている。
(P.45)
仮想空間の虫取り少年となった私は、「赤」「緑」「青」の三種のソフトのすべてにわたって延べ一〇〇時間をこえる時間を注ぎ込み、捕獲ポケモンも最高で百二五種(小学生の「師匠」たちに言わせると、まあまあの成果だそうだ)に達するまでに、このゲームに打ち込むこととなったのだった。
(p.170)