ヨモジジ(freaks ver.)

本と雑貨と音楽と、街歩きが好きなオッサン。1981年生まれの珈琲難民が好き放題に語る。レビューのためのブログ。

「ギャンブラーが多すぎる」著:ドナルド・E・ウェストレイク 訳:木村二郎

面白かった。
NYのギャングたちが出てくるお話で
被害者もまぁ、出るんだけど、主人公のキャラクターがなんだか
緊張感のないやつでそれがなんだか愉快な感じになってる。

主人公はギャンブルが大好きで、ノミ屋を通して買った馬券が当たったもんで
それの払戻しをしてもらおうと思ったらそのノミ屋が殺されていた。
一体誰が?なんのために?そして、俺の払い戻しは誰がしてくれるんだ?

ということで、主人公はずーっとそればっか言ってます。
ギャングにさらわれても、払戻しだけしてくれればいいんだぜって、すごいなこの人。
でも、間抜けさとタフな感じは紙一重でいい味出てます。

物語の途中からはちょっとばかり色っぽいシーンあり、
銃撃戦、アクションシーンありと
ハリウッド的文法にものっとった
清く正しいエンターテイメントに仕上がってます。

あとは、主人公がタクシー運転手ってこともあって
ちょいちょいNYの番地なんかも出てるんで
通りやら知ってるとさらに楽しめるところもあるんかな。
ちょっとした息抜きにはぴったりの小説でしょう。

賭けてもいいが、おれがこんなにしゃべり上手でなければ、これから話す出来事はまったく起こらなかったはずだ。しゃべり上手だということはいつもおれの問題だが、おれの問題は何か他のことだと言い張る連中もいる。しかし、人生はギャンブルだというのがおれの口癖だし、世の中でしゃべり上手な人間のみんながみんな連邦議会にいるわけじゃない。(p.7)

軽快な書き出しである。それにしてもギャンブルが好きで舌がよく回るというのは、
たいがいロクでもないわな。ろくでなしの話はみなさん興味があるので、ここで大体読みたくなる。
中身はご期待に添えるかと。

人間の身長ぐらいの高さの雪の山が車道の両脇に連なっている。その雪は除雪車によって両脇に集められ、あちらこちらで雪に埋もれた車のボンネットやサイド・ウィンドウが輝いていた。(p.82)

NYって結構緯度が高いんだよね。
そういや、アメリカでは今年の寒波も強烈って言ってたな。
日本はおおむね温帯でその辺は助かるなぁ。それでも寒いけど。