「KPIマネジメント」楠本和矢
KPIというと意識高い系みたいな感じで気恥ずかしいのですが
組織の中ではある程度こいうキーワードを共通語にしながら業務を進展させるのが望ましい。
しかし、KPIという言葉だけでは無意味で
各社においてKPIが何に当たるのかを明確にして、
そこを共通のターゲットにしていくことが必要だ。
この本では概念の基本的な説明から
実際に導入した企業の実例の分析もしっかりしており
導入からブラッシュアップまで一通りの射程を持っている。
特にうまくいかなかった場合にどのような落とし穴がありうるかも説明がある点は
この本の実用的価値を高めていると思う。
どのような場合でもKPIはあくまで測定できる指標の一つであって
「あるべき姿」につながる「ストーリー」の中に位置付けられて初めて効果を発揮する。
ストーリーの練りこみと、チェック時にお手盛りのストーリーでなかったかの再確認、
この辺にコストをかけるのがひとつのポイントなんだろう。
- 作者: 楠本和矢
- 出版社/メーカー: すばる舎
- 発売日: 2017/10/21
- メディア: 単行本
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事例はレアケースであってもよい。仮に類似のものがない、n=1のケースであったとしても、それがどのような心理メカニズムによるものかについて推論を進めていくと、実は汎用的に展開できるヒントが隠れていることもよくあるからだ。(p.72)
これはなかなかハッとさせられる視点ではある。
しかも、こういうレアケースを汎用化するプロセスの中でこそ
差別化への推進力が発揮されそうな気がする。
まだ見えていない相手の心理、即ちインサイト(隠れている感情、本音など)を辿ってみる。そのインサイトのレベルで見てみると、実は同じ理由から複数の課題が生じていると気づくことが多い。まさにそれこそが攻略すべき点、作るべき「あるべき状態である」(P.68)
逐次的な対応ではなくて、
より波及効果の高いポイントを探すのが
マネジメントという職務の根本でもあろう。