「GRIT やり抜く力」著:アンジェラ・ダックワース
継続は力なり、というのは日本でも成語になっているので
決して軽んじられているわけではない。
でも、どれだけ大事なのかというのはそれほど具体的なイメージにならない。
この本でそれががっちり裏付けを見せてくれればありがたいのだけど
実のところ、この本の中でもまだふわっとしているとは思う。
とはいえ、十分に説得的な事例は多く出してくれる。
(進化論では適者が生存するのでなく、
生存者こそが適合者であったことを思い起こす)
つまるところ、
才能よりもやり抜く力が大きく成功する者にとっての必要条件だという事例だ。
後半は著者自身の子供達のことも視野にいれて
やり抜く力の教育について書かれている。
しかし、これは社内教育でもありうるし、自己修練でもありうる視点だろうと思う。
原則を掲げた上での自由および、選択への責任。
まぁクサイ物言いではあるのですが、
スジを通してケジメをつけろってことですな。
やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける
- 作者: アンジェラ・ダックワース,神崎朗子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/09/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「私はつい、才能をある人をえこひいきしてしまうんです」などと認める人はいないだろう。それどころか、自分の心のなかですら認めないかもしれない。しかし私たちの選択を見れば、そのような偏見を持っているのは明らかだ。(p.46)
これはプロフィールだけ天才タイプと努力家タイプと交換して
同じプレゼンを聞かせた時の実験による結果を見て言っている。
面白いこと考えるものだが、そのバイアスを乗り越えられる人は有能な投資家になりそう。
エイミー・レズネスキーの研究は、「天職」というのは、職務記述書の中身とはほとんど関係ないことを示している。(p.212)
どんな職業でも「仕事」「キャリア」「天職」のそれぞれの割合が変わらないから
天職を無理に探しに行かなくてもよい、という話なのだが、これは逆に不思議である。
いつも3割は怠けている蟻のようだ。
仕事を天職にせずにいることで幸福になる人もいるのではないだろうか。
これは別の話だけれどもね。