ヨモジジ(freaks ver.)

本と雑貨と音楽と、街歩きが好きなオッサン。1981年生まれの珈琲難民が好き放題に語る。レビューのためのブログ。

「管理ゼロで成果は上がる」倉貫義人

管理ゼロはある種の夢の一つでしょうから
これはだいぶ夢のあるタイトルですね。

上からのマネジメントを極小に抑えるための色々な工夫が語られていますが
一番のキモは管理しなくても良い人材を捕まえてくる、というところでしょう。

同じ方向を見ているかどうか、ということに合わせて
共通理解、共通の常識が管理のコストを減らすことにつながっています。

ただ、これはある程度の規模までの会社でないと難しくなりそうな気がしますね。
少なくとも一気に人を増やして拡大しようとすると選択できないでしょう。
実際、こちらの会社ではそういう拡大路線は選んでないようです。

そして、最後まで読んでいくと
管理ゼロを目指してそうなったというよりは
事業コンセプトを洗練させていく中でとるべき形態を一つずつ選んでいった結果だということがわかります。

この本を読んで管理ゼロにするぞ、というよりは
自分たちの事業モデルがどうあるべきかということを考えなさいよ、というメッセージを感じました。

もちろん、個々のやり方やツールの選択についても参考になるところが多いと思います。

人間は基本的に怠惰なので、少しでも面倒に感じたら、「AかBか」ではなく「行動しない」という選択肢を選んでしまいます。(p.96)

こういう考え方大事ですよね。この判断自体がコストですし。

「納品のない受託開発」では、月額定額で保守までやっていくことにしているため、保守性を下げてしまうと自分の首を締めることになってしまいます。それに納品してドカンとお金が入ってくるモデルではないため、継続的に続くことが大事になります。(中略)私たちは「いい人をつくるビジネスモデル」を広めたいと考えています。(p.234)

人のクオリティを採用で担保しつつ、
システム、構造で人の性質をより望ましい方向にしていく。
それには自らの事業の「方向」とは何かというのが一番に考えるべきことになるでしょう。